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 木の家とは、壁や床などの内装だけではなく、柱やハリ、ケタなど主要構造部の構造材も、すべて木でできている家のことです。木は住宅建材として必要十分な強度を備えています。また木は強いだけではなく、湿気や重量の負荷に柔軟に対応するしなやかな強度も備えています。

 山で切り倒されたばかりの木は、叩けば水しぶきが飛ぶほど水分を含んでいます。それをまずは自然の状態で水分を抜いていくため、枝と葉をつけたまま山の斜面に寝かしておく”葉枯らし“をします。そしてさらに乾燥させ、水分を落としたものが住宅材となります。含水率を落とすほど重量は減り寸法も縮みますが、強度は、乾燥させるほど増してきます。

 家は一生の暮らしの舞台。強く、丈夫であることは、よい家の第一条件であることは、言うまでもありません。

  木の強度と精度は、乾燥で決まりますから、私たちは、構造材の乾燥度に最も神経を使っています。とはいえ数字で表される含水率からだけでは、真の強度は読めません。種類により水分の抜け方が違いますし、施工の季節や場所によっても乾燥度は微妙に変わります。1本1本の特徴や乾燥のプロセスから強度を見極める技術に、私たちの材木屋としての経験と技術が生きています。

  たとえば無垢の木を使う場合は、2〜3割ほど木の面積係数を大きくし、必要な強度に対して余力を持たせます。また、無垢の木だけにこだわらず、強度が確定している”エンジニアリングウッド“も臨機応変に採用しています。

 木の構造材は、家が建った後も少しずつ乾燥し強くなっていきます。建てた時から劣化が始まる鉄とは逆に、その強度のピークは建ててから百年後。時を経るほど強さが増すのが、木の家なのです。

木の調湿作用や断熱効果による快適さを体感できてこそ、木の家といえるのです。

古来から日本の家は、木と土だけでできていました。それは、きわめて多湿なこの国の気候風土と無関係ではありません。土も木も、余分な湿気を吸い、空気が乾燥しているときは水分を吐き出す”木の呼吸“と言われる調湿作用があり、昔から人々はそれを利用し、快適に暮らしていたのです。

 もうひとつ、木には優れた断熱効果もあります。これは、木材には空隙がたくさんあり、そこにたっぷりと含まれた空気が熱伝導を妨げるから。鉄やコンクリートとは違い、木は、それ自体が断熱材であるのです。

 木の家と、そうでない家との、調湿、断熱効果による快適さの違いは、実際に住んでみると驚くほどです。私たちが、内装材に木をふんだんに使うのは、その優しい風合いだけではなく、夏はひんやりとして冬はいつまでも温かく、梅雨時も冬の乾燥時も常に一定湿度を保ってくれるという、木の家ならではの快適さを体感して欲しいから。それを肌で感じることができてこそ木の家と考えているからです。

 私たちは、内装材には木の呼吸を妨げない程度にオイル仕上げをした木を使っています。紫外線により木肌が飴色に変わっていくのも、木の家の楽しみ。そうした無垢の木のあしらいは、化学物質で加工しなくても長持ちする質の良い健康な木を吟味する確かな目と技術を持っているからできることだと、自負しています。

木の性格を知り尽くす知識、読み取る技術、生かす発想力がなければ、木の家は作れません。

 呼吸をしているということは、木の最大の長所ですが、施工者にとっては扱いにくい点でもあります。なぜならそれは、木は湿度により微妙に伸縮をするということでもあり、家を建てている間にも木の寸法に微妙な狂いが生じるからです。木の乾燥と伸縮の関係を知り、誤差も計算の上で工事を進めることは、木工事の難しいところ。経験豊かな職人だからできることです。

 三州木材の製材所には、天竜杉をはじめさまざまな木が集まります。私たちは、その1本1本を触り、あちこちの角度からじっくりと眺めることから木工事を始めます。木には『性格』があります。種類、産地、部位により千差万別なその性格を、見て触って正しく読むことができなければ、よい木の家は絶対につくれません。その技術は、長年木を扱ってきた経験でしか培えないものです。

 木の性格とは、乾燥による伸縮の仕方だけではありません。たとえば板を切り出したとき、樹皮に近い側を木表、樹芯に近い側を木裏といいますが、板は木表を内側にして反る性質があります。また、木は方向により強度が異なります。さらに、節の位置や芯の曲がり具合によっても反りや曲がりが生じます。乾燥により起こる木材の割れも、どのように割れるかはそれぞれの木の性格によるのです。

 私たちは、家の大量生産はできません。そのかわり、木のすべてを知り尽くし、性格を読み取る技術を持ち、どの木を、どの部分にどのように使えばいいかというノウハウを駆使して、一軒一軒の家をつくっています。そこが、私たちと大きな住宅メーカーの一番の違いでしょう。とても個性的な木という自然素材を、どこにどうやって使えば、構造的にも丈夫で、見た目も面白く、住む人に楽しさと安らぎを与えるものになるだろうかということを発想する力。それが、私たちが最も自信を持っているところ。住宅メーカーとしての私たちの、一番の強みです。

 よい木の家とは、それぞれの木が、それぞれの場所で、その魅力と個性をあますところなく発揮している家だと、私たちは考えています。

※エンジニアリングウッド : 機械乾燥で含水率を数%まで落とした木材を数枚張り合わせ、確かな安定した強度を持たせた木材。集成材ともいいます。



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